寿命を迎えかけた老犬と目の見えない散歩をした日記
日曜の午後、犬に会いに行った。
もう13歳だかになる柴犬で、最近体調を崩して一時はこのままお葬式かなというくらい弱っていたのだけれど、すこし回復したという事でお見舞いということになった。なんだか11月らしくない暖かさで誰かに会いに行くには丁度いい日だったし。
昔は玄関先まで行けばもう嬉しそうな鳴き声が聞こえてくるような犬だったのに、こちらに背中を向け庭で丸く静かになっている姿を見ると寿命を終わろうとしているんだなぁという感想。悲しいとかではなく、とても丁寧に生きているように見えて「羨ましい」?「落ち着く」?うまく言葉を当てはめられない。無理やり近そうな言葉を持ってくると、「よく噛んで消化する」みたいな気持ちになった。
鼻も目も耳も三半規管もダメになってしまっているらしく近づいても動かず、背中を触ると驚いて少し飛び跳ねそうになった。不安そうに距離を取ろうとするので鼻に手を近づけてあげるとようやく誰だかわかった様子で嬉しそうに舐めてくれる。
続きを読むホリエモンさんのスピーチを聞きながらぼんやりと思ったメモ
Kung Furyは何故懐かしい?
LaserUnicorns制作の「Kung Fury」を見た。
30分ほどのショートフィルムであり、1980年代の文化を再現するビジュアルが特徴。
映像は全てVHS画質のように加工してあり、音楽も昔のアメリカのテレビ番組(見たことはないがなぜかそう感じてしまう)のようなものを使っている。
私が注目したいのは、とあるビジュアルである。
マーベルキャラクター、「コロッサス」に似たメタリックと、グリッドの大地に山と夕日。
このシーンにも似たような風景が描かれている。
ちょうど「80年代風ロゴジェネーレーター」というものを最近知り、
それと同じデザインだな!と思った。
この時に「Retro Wave」というジャンルがあることを知った。
個人的に惹かれるデザインであり、ピンク・オレンジ・ブルーの配色がかなりツボである。
さっそく「レトロウェーブ」で調べたものの、レトロウェーブという髪型の記事しかヒットしなかった。
「retro wave」で検索すると、先ほどの画像と似たような画像や音楽がヒットした。
それらは「New Retro Wave」というジャンルで、1980年代レトロの復興であることが分かる。
つまりアメリカの文化なのだろう。
しかし何故日本人の私が懐かしいと思ってしまったのか。
80年代に生きていたわけでもなく、昔のアメリカのテレビ番組など見たことはない。
しかし既視感があるので、youtubeで昔のCMなどを検索してみた。
日本のテレビCMの場合80~90年代は光沢のあるロゴは一切なく、洗練されていない。
2000年代から急に映像にこだわったCMが増えているが、ロゴはフラットなままである。
この時点でアメリカはCGが発達していたのが分かる、というのは余談だが私は一つのCMを思い出した。
https://www.youtube.com/watch?v=RNrFfn6ZiXA
「ペプシマン」、日本の発案されたキャラクターであり私が小さい頃はよく見ていた(ペプシマンのゲームもやってた)。
あのブルーグレイのメタリックはロゴデザインではなくペプシマンの身体であり、
アメリカを舞台にした映像は「アメリカのテレビCMの記憶」として私に残っていた。
私はそういう結論になったが、レトロを知らない世代もレトロを懐かしむことはできる!と考えます。
小説の習作:太陽 整理整頓 ハンカチ をテーマに
最初におかしいと感じたのは、温かさを錯覚するざらついた手触りだった。
数千のプラスティック・ボックスが積まれた宇宙ステーション。その中にたった一つだけダンボール箱が紛れ込んでいたのだ。
「地球行 品物コード2004:美術品」
三十年前の品物コードだ。まだ何かを人に送りたいと考える人間がいた頃の。
汚れ、破れかけたダンボール箱には亀裂がいくつも入っていた。規則では容器の穴は塞がなくてはいけない。しぶしぶプラスティック・テープを取り出し、内容物の確認をしようとするとー
火傷ではない。
微かに湿り気のある37℃の体温。静かな息遣い。熱を感じたのは何十年ぶりだろう。
密航者は捕まえ、処罰する規則なのだ。
何のために?百年前の法律で、いったい何を処罰するのだ?
まだ人類が宇宙に熱を感じていた時代、俗にいう「宇宙開拓」の時代にはたくさんの人間たちが船員としてではなく荷物として宇宙を目指した。資源のない、未来のない、冷たくなっていくだけの地球を逃げ出そうとしたのだ。
もっとも、その殆どは死体で到着した。新天地への熱い憧れは宇宙の絶対零度に負け、「人類の記憶」として運びだされたミイラたちと同じ姿になって。
開拓し尽くすことのないフロンティア、広い宇宙のどこかに友人の見つけられるかもしれないという夢に取り憑かれ、数百数千の宇宙船が旅立ち「宇宙艦隊」が「宇宙海賊」を追いかけた時代が確かにあったのだ。
根拠の無い熱意はたった一世紀で打ち破られることになる。いや、凍りついた。冷たい宇宙空間に野心の熱を奪われ、宇宙のどこかの仲間を探して旅立った人間達は、異星人として新天地に住み着くのがやっとだった。
だが、この少年は帰ってきたのだ。
プラスティック・テープで亀裂を塞ぎながら自問自答する。見逃したとして、未来があるのだろうか。高温で落下するコンテナの中で生き延びられるとでも?
いや、未来がない密航だからこそ意味があるのだ。宇宙の絶対零度に心を凍らされることなく、かつて新天地に恋い焦がれた人間達と同じように荷物に潜り込んで。
貨物船とは名ばかりの、ゴミを満載したコンテナが出航する。
住むべき人間を失った抜け殻の地球に、コンテナいっぱいに詰め込まれたゴミと1人の少年が落下していく。
小説の習作:太陽 整理整頓 ハンカチ
10月だというのに、今日はとても暑い。
暑いというのに、どうしてか同じクラスの神崎さんに偶然会ってしまった。
私も駅に用事があるから一緒に行こうと言われ、二人で歩いている。
並んで歩くと周りから羨望の眼差しを受けるくらい彼女は美人だ。
俺にも何か青春のチャンスをこの期につかめるのでは?
そう思いたかったが、今日この子に会ってしまうのは運が悪い。
今日は誰とも会っちゃいけない日なんだ。
思ったより太陽の日照りが強いのと、焦りで汗が出てしまう。
本当は尻のポケットにあるハンカチをとって、額を拭いたいのだが、なぜかそれができない。
どうしてか。
実は今日、ハンカチだと思って入れた布切れは、妹のパンツなのだ。
さっきトイレで手を拭こうとした時気づいた。
朝起きて寝ぼけていたのか、というかいつも俺の洗濯物が置いてあるスペースにパンツがあるのが異常なんだ。責任は俺ではなくお母さんにあるんだ。
折りたたむと結構ハンカチに見える……いや見えないな、もっとよく見ていれば。
どうして今日に限ってこうも暑いのだ、あぁ太陽が憎い。
そうやって思いつめていると、さらに汗が吹き出てくる。
「ちょっと、汗すごいよ? 体調、悪い?」
俺の顔があまりにも異常だったのか、気づかれてしまった。
「えぇ?うん大丈夫、、あ!元気だよ俺!問題ない!」
もう顔が限界だ。いい加減汗を拭えといつツッコミがきてもおかしくない。
どうするべきか。この状況、私には2つの選択肢しか思いつかなかった。
観念してパンツで汗を拭うか、用事を思い出した事にして立ち去るか。
前者は俺が変態だと思われることを覚悟で、彼女と駅までの約10分間をともに過ごせる。
後者は一見安パイと見えるが、ここで別れるのは勿体無のだ。いつ会えるかも分からない。なんかもうデートの約束とかしちゃいたい。
俺の中での優先順位は…リスクよりも今日神崎さんと少しでも仲良くなること…!。うまくやれば、ハンカチに見えるかもしれない。よし、やるしかない。
「ほら、これ貸してあげるよ」
その声にハッと気づき、神崎さんの手には動物のイラストが刺繍されたハンカチがあった。
「ハンカチないの?貸してあげるから、これ使って!大丈夫?」
俺はその後、彼女とラインを交換しました。